「リストランテ・パラディーゾ」感想 - しょくぱんのマンガ読書感想文

巻数：１巻（完結済）

ジャンル：恋愛・人間ドラマ

　舞台はイタリア。主人公のニコレッタは、母・オルガの再婚相手であるロレンツォにオルガの秘密を伝えるため、田舎を出てロレンツォの経営するリストランテ（レストラン）を訪れました。

　実は15年前、オルガは子持ちと結婚をしたがらないロレンツォのため、ニコレッタの存在を隠して再婚をしていました。オルガの秘密とは、過去の離婚歴と娘であるニコレッタの存在だったのです。

　ロレンツォに真実を伝える機会を伺っていたニコレッタですが、ある日リストランテの従業員である物静かな初老の紳士、クラウディオに恋をしてしまいます。クラウディオに近づくため、ニコレッタは母に「まだ娘だという事を黙っている」という条件を提示し、リストランテで見習いとして働きはじめます。

　この漫画には、若くて、爽やかで、筋骨隆々なイタリア男の出番はありません。登場する男性の殆どが初老の男性ばかりという異色の作品となっています。

　「えぇ～、おじさんしか出ないの？」

　「私枯れ専（年配男性を好むこと）じゃないからなぁ…」

　このように思われる気持ちもとても分かります。ただ、これでこの作品を読まないのはとても勿体ない。

　ニコレッタが片思いをする老紳士のクラウディオがほんっっとうに格好いいんです。

　長い人生経験で得た余裕のある立ち振る舞いや、寂しくも見える優しい目つきが、オノ・ナツメさんの独特な絵柄で色気たっぷりに描かれており、作中何度もときめいてしまいました。

　また、クラウディオ以外にも素敵な老紳士従業員がそろっており、陽気でプレイボーイなヴィート、いい人なのに憎まれ口ばかりの照れ屋なルチアーノ、無口で食事中のモグモグする口が可愛らしいジジ…他にも様々な魅力を持った老紳士が登場します。

　１巻完結の作品であるにも関わらず、１人１人の登場人物の魅力が分かりやすく描かれているのもこの作品の特徴でしょう。

　老紳士大好き！老眼鏡萌え！な方も、普段は老紳士に興味がない方も、是非一度手に取って頂きたいです。

　個人的な好みなのですが、ヒロインは割と肉食系で、サバサバしている方が好きなんですよね。

　複数の男性に行為を持たれて「どうしよう…」と悩むようなヒロインも可愛いと思うのですが、それよりも、１人の男性に惹かれて、自分自身でどんどんアプローチを仕掛けるヒロインの方が読んでいて気持ちいいと思う方です。

　そしてこの作品の主人公であるニコレッタは、私の好みにドンピシャの肉食系女子なんです。クラウディオに対してガツガツ自分からアプローチを仕掛け、恋心を隠さず言葉で、行動で示します。

　ネタバレになってしまうため詳しくは言えませんが、ニコレッタのクラウディオへの、まっすぐで情熱的な愛情表現もこの作品の見どころと言えるでしょう。